僕の翼と俺の檻

”僕”の小さな手 全てが掴める気がして 大きく広げた幼少の頃
思い出は塵となり 灰色の雪になって 俺の心に降り注ぐ
融けてなくなることなく あの頃の夢は降り積もり 俺を押し潰す
何も成す術なくただ輝きが過ぎる 俺の心にあった夢という名の雲も見上げ
”僕”が感じていた全能感が 如何に俺には重過ぎる罪かを悔い続ける


俺は”僕”が広げていた手を握り締め これ以上零れないように 奪われないように
眩し過ぎる 過去の まだ 暖かい残骸が降る 空を 決して見ないように


行き続ける 可能性という縄に縛られ 妥当性という網に絡まり
合理性という檻に囚われ 平等性という言い訳を胸に押し付けながら
行き続ける ”僕”が居るあの空を 決して見上げぬよう 俺は唇を噛み締め 黙々と 言い聞かせ