百合の花と棺と切開の傷

百合の花束が腐った臭いは
絶望的な結末の腐臭


死の先の臭い
生の前の臭い
惨めで いやに生理的な
刹那を彷彿とする 恐ろしい臭い


濃密な 花粉の腐った色
花弁の白が枯れるキチキチという音
絶望的な結末までの経過


それはまるで 思い出が焼け焦げて
自傷の為に歪められた時の音 心の内で 嗅ぐ腐臭


死が先に来る 生までの腐臭
刹那の経過を彷彿とさせる 絶望的な未来の臭い