手首を切る効用について

手首を切る効用について


死ぬのを恐れて手首を切る人間がいる。
確実に死ぬ方法を知っていても、カッターで線を引く。
流れる血が、自分をまだ生かしていると確認させてくれる。
死にたいと意思表示をすることで、何とか生きている人も居る。



または、死にたいという願望が膨らみきって破裂してしまう前に、
手首から少しでも身体の中で沸騰している
悲哀 絶望 激情 虚 という膿を流すために
理性が手首に線を引く。
死にたくないという渇望が、手首から流れる血で潤されていく。
生きるための出血、死なないために創る傷を糧として何とか生きている人も居る。



手首から流れる血は、人を生かす可能性を多分に含む。