篝る心は死を願う

誰にも打ち明けたくない 痛みを消す煙草はもう
ノイロトロピンを叩きつける様な 儀式ですらなくて
ボウモアとポールモールは 俺の身体に染み込んでいる
苛つきと痛みを忘れたのはフリだけで
血を流していた事を忘れようとしても 脈は止まらない


巧くやり過ごしたつもりの激情は 影のように貼り付いている
俺は麻痺して死に続けているのではなく
俺は未だに篝火のように生きているだけだと気付く
 

ニコチンと共に 魂ごと吐き出してしまえればと思う夜は
10年前と変わりはしない 俺は宝くじを買う程度の薄い期待で
死が訪れるのを望んでいる
俺は 買える性のような インスタントに死が訪れるのを待っている


俺は ぬるい4月の夜空を見上げ
救いは隣人でも神にもなく ただ己の中で生成するものであると悟る
俺は 4月に凍てつこうとする心 篝火は 俺を殺そうと ちろちろと燃えている
俺は 篝火を誰よりも何よりも愛している 憎んでいる そこに介在する 他はない