僕の幸福論。

僕の血は流れきった 僕が全て吐いてしまったから 汚いもの全て吐いてしまったから
パパもママも流れていった 汚い思い出や優しさ パパとママの思い込みと言う期待も全部


僕は僕の好きなものだけで埋め尽くされた部屋で生きていくのが嫌なんです。
パパの呉れた勇気とママが呉れた優しさだけで生きていくのは死にながら生きていくことと同じなんです。


僕の血は流れていった あとは僕の好きな子猫と一緒に眠ってしまえば 寂しさはとうに消えた
猫は僕が居ないと死んでしまうから 僕はミルクをあげる代わりに 子猫の体温をもらいました


僕は何かを懐に抱いておかないと温かさを永遠に忘れたままで終わってしまいそうでした。
僕と猫を包む毛布は暗闇の中でゆっくりと世界から僕らを引き離して本当の暗闇を作りました。


猫は優しい目をしてゆっくり眠りました 僕も心なしか本当の優しさを知った気がして眠りました
幸せとはきっと この黒い世界に唯一感じる この頼りない小さなぬくもりのことなんです
幸せとはきっと 汚い人間どもが全て死んでしまった後に感じる この猫のことだけなんです


抱き締めただけで死んでしまうような、このか弱い猫の純粋だけが、僕の中で生きています。