警視庁抜刀隊。

北を喰らわばコリアまで。
今晩和、麝香(右翼)です。

今日は斎藤君(仮名)の「赤い服を着ている女はやりたがり仮説」の話をしようとしたのですが、彼が「俺の話をするな!」というので他の話をしようと思います。
そもそも、私は「仮の名前を使っているのだから君のことだとは誰も思わないよ」と言っているのですが、話の内容で彼を察知する人間を恐れているのかもしれませんね。
名前は全くの架空モノですが、話の内容は彼を想像させるものばかりであるからです。
中には、彼が誰だか分かっている方もいるかもしれません。

という事で、今回は完全に虚構のお話です。要するに小説みたいなものですね。
斎藤君(仮名)の「誰も居ない公衆便所で小便をする時、一番出口に近い便器を選ぶ奴はビッグマグナム仮説」の話はまた今度にします。
完全に虚構であれば、斎藤君(仮名)に文句を言われる筋合いもないのであります。


テレビが普及したこの世の中において、子供の話題として中核を担う存在は常にアニメである。
ヒーローに憧れ、悪役を憎み、必殺技をこぞって練習し習得しようと努力する。
虚構であるアニメを現実世界に召喚することで、子供は夢中になり安易に自分(達)の聖域(=大人の入り込まない楽園)を作り出すことが出来るのだ。
夢中にならぬはずが無く、また、それが過度になれば節操の利かぬ子供のことであるため、非道く危険であることも確実である。
そう、子供とは無知故に無邪気であり残酷であり夢想病であるため、時としてアニメを現実世界に取り込もうと必要以上に躍起となる性質があるのだ。
例えば、私の一世代前だと「聖闘士星矢」であり、乙女座は自殺するか仏門入り、または自棄になってオカマになるかしかないという残酷な時代であったそうである。
また、幻魔拳にかかった振りをした子供が朦朧と車道に飛び出し挽肉になることも茶飯事であったという。
私の世代ではドラゴンボールであり、どどん波を撃とうと何度も錯誤した挙句突き指をしたり他人の眼球に指を突き刺したりするなど、狂気を帯びた所業ばかり繰り返していた。
さて、ここからが話の本題である。
私たちの世代では「るろうに剣心」と呼ばれるアニメもまた、人気を博していた。
題名の感じからしても分かるとおり、剣を使う主人公の話であり、江戸〜明治における侍の激動を中心の内容としたアニメーションである。
その内容を知らない人はGoogleなどで題名さえ検索すれば今でも沢山の情報を得る事が出来るだろう。
登場人物も実在の人物そのものの名前であったり、それを彷彿とさせるキャラクターであったりしており、歴史に興味を持つ窓口としても貢献した。
例えば赤報隊相楽総三であり、石川県士族に暗殺された大久保利通であり、新撰組斎藤一であった。
そこで、聖闘士星矢時代のように「自分を虚構に当てはめてより一層の倒錯した世界を作り出す」ことが、当時現役であったアニメではできなかった子供達にとって、彼らは立派な「虚構を当てはめるエレメント」を有していた。
そう、それは名前である。
ドラゴンボールのような絶対に日本では実在しない名前ではなく、実在する(した)日本人の名前が用いられているるろうに剣心は、子供達にとって自らを英雄として聖域を作成できる可能性を持った魅力的な代物だったのである。
真実(まこと)という名前の子供は包帯を身体に巻いて剣代わりにしていた木の棒に火を着け、結果包帯に燃え移り焼死してアニメと同じ末路を辿り、瀬田(せた)という苗字の男の子は木刀で叩かない限りワザと無感情に振る舞い、心配した親がそれを自閉症とみなし精神病院に入院させた。
(ここで()付けで名前を読み仮名振りで表記したかと言うと、漢字は正しくなくても子供にとっては問題ないのである。子供にとって重要なのは自分がそのキャラクターに少しでも近付くことであり、それに必要な要素は最低限で構わなかったのだ。)
ここで、長い前置きで焦らせつつも、物語の登場人物が初めて幕に入る。
彼の名は斎藤一雄(さいとうかずお)。
彼は斎藤一と一字違いであるためにそのキャラクターになりきる権利を我が物にしていた。
アニメの中で斎藤一牙突という強力な突き技を持っており、斎藤一雄もそれを真似て友達の喉仏を次々と突き割り、現実の斎藤一よりも多くの血を浴びた。
しかし、残念な事に彼は何時までの子供の純真さを忘れない大人であり、正真正銘の子供ではなかったため冗談や過ちで済ませることが出来なかったのである。
所謂ところのアニメ好きなお兄さんであり、更に端的にしてしまえば現実と虚構の区別がつかなくなった精神病質的な犯罪者予備軍であった。
彼は大量撲殺犯として指名手配されたが、彼は既に自己を斎藤一と同一視してしまっていた。
そしてそれが自己暗示となり、その突きはオリジナルを超える凄まじいものとなっていたため、彼を捕まえることは難しい事と成っていた。
弾丸すらも突き落とすその技は後に自衛隊をも出動させる一大事件となるのだがそれは別の話。
また、酔った勢いで「俺なら牙突で志々雄真実も殺れるね」と豪語しようとしたところ呂律が怪しくなり「俺の牙突で志々雄真実も犯れるね」となってしまったため、彼を包囲していた警官が一斉に自分の尻を抑えたと言う逸話も別の話。
この話は主人公が斎藤一雄であることが重要であり、後は単なる肉付けであり便宜上のものでしかない。
そしてこの話に登場する人物は実在の人物とは一切関係ないと、今ここで断っておく。



斎藤一雄が登場するこの話の顛末は、次回以降に続く。