とある台本(戯れに書きかけたもの)の一部。

暗転中に、成川と鶴見は両端の奥に移動。顔を伏せ体育座りで待機。
竹丘、客席に見えるギリギリの左幕手前で待機。
スポットライト(竹丘)それ以降、ずっと怯えているように呼気を荒くしている。……肩を揺らして、肩で息をしているように見せる。胸に手を置き、多少前屈みになる。
数秒後スポットライト(成川・鶴見)顔は伏せたまま直立し、情熱的に声だけを発する。

成川「空を飛ぶには、一歩を踏み出す勇気なんて必要ない」
鶴見「必要なのは、一歩後ろに下がって」
竹丘、操られているかのように、怯えて息を荒くしたまま一歩下がる。
成川「走り出してしまったら止まらなくなるくらいの」
竹丘、更に下がる。
鶴見「躊躇する間も無いほどのスピードで飛び出すくらいの」
竹丘、どんどん速度をあげて下がっていく。
成川「助走だけ」
竹丘、下がりながらもどんどん息は荒くなっていく。
鶴見「勢いだけ」
成川「さぁ、一歩後ろへ下がって」
成川「ほら、もう一歩だけ」
竹丘「嫌だ」
鶴見「そう、もう一歩だよ」
竹丘「嫌だよ」
成川「そら、もう少しで君は飛べる」
竹丘「嫌だ」
鶴見「そうら、もう君は一歩後ろに下がっただけで」
竹丘「嫌だあああああああああああ!」
竹丘、この場面で丁度右端の幕に移動する。最後は倒れこむように舞台から消える。
(ここで、成川、鶴見は一気に無感情な口調に変わる)
成川・鶴見「踏みしめるべき大地は無い」
成川「大地は君を砕く」
鶴見「空も大地も」
成川「君を必要となんかしていない」
鶴見「君を必要としているのは」
成川「空でも大地でもない」
鶴見「ただ何と呼ばれることも無いその空間だけ」
成川「君と同じように」
鶴見「何と呼ばれることも無い」
成川「空も飛べない」
成川・鶴見「空虚だけ」
暗転。グチャッという効果音を出してこの場面はおわり。