胃を狩る狐。

随分と長い間お休み致しました。御久しぶりです、麝香と申します。
御蔭様と申しましても貴様等愚民どもには何一つして貰ってはいないのですが、母の体調もほぼ回復した模様です。有難う御座いますと申しましても貴様等愚民どもには何一つして貰ってはいないのですがね。ケッ。
さて、皆様愚民どもに御礼の意味も込めまして、ここでワタクシ麝香が一曲歌わせて戴こうと思います。それでは、心してその汚らしい耳でお聞き下さい。


結局のところ、楽なところに逃げたいだけなんだろう
転んでも「痛くないよ」と強がって見せた幼き君は死んだ
「辛い痛い苦しい助けて」君の口から出るのは嘆きだけで
悲しくても涙がこぼれぬよう空を見上げた幼き君は死んだ
僕の前に居る君はもう 照れ笑いする健気な強さもなく
僕の前に居る君はもう 強くあろうとする事に疲れた狐
結局のところ、楽なところに逃げたいだけなんだろう
僕の前に君は居ない 僕の前に居る狐は 卑屈に媚びて殺された


それでは皆様、御機嫌良う。