幻窓

陰も作らぬ優しい月光 樹の下で微笑む娘
幼子と老婆はたどたどしいワルツを踊り
撫でるより優しい風が幻想的に草を揺らす


安楽椅子と編み掛けの毛糸 慎ましいヴェールの雲
天井を駆ける鼠がランプの光に中てられ 陽気が過ぎる影と哂う


地下室の扉 草と土に覆われ 地と馴染み
苔と錆の温かい階段 奥深く誘われる闇


理不尽に死に続ける 鉄の処女と青年のジルバ
絞り尽くされた血液を舐める幼子と老婆 微笑む娘


安楽椅子と編み掛けの毛糸 陰も作らぬ闇
地下室の扉が幻想的に 血と馴染み 風に中てられた雲を哂う