産出

秋の冷たすぎる雨が窓を濡らす
深夜2時 頬をガラスに当て
外を眺めて 薬が暴れるのに身を任せて


しっとりと湿った夜と
荒れ狂う自分を押さえ込む薬と
近所で鳴いている発情した猫と
何処からか聞こえる下手なピアノの音


何も理解せず
感じたまま
何も生まずに
見上げたまま


雨粒の1つに太陽が隠れているのを見つけて
それは俺が生んだ世界だとは気付かずに


猫とピアノが語り合いを止めるまで
呼吸もせずにただ在った