餞に 吐き溢れ出た君の血液を

僕の手は 血に塗れて錆びた 断頭台の刃のよう
誰にも期待されていない機能 掴むための手ではなくなった


僕の手は 君の手を 心をを掴むこともなく
宙を彷徨う君の手に怯え 保身のために頭を抱える手


僕の手は 君の望む逃避のためにスイッチを切ることも無く
何の役にも立たない脆く唾棄すべき断頭台


胸からこの手で 抉り出せるのは心臓と血だけ
断頭台の錆びた刃である ノコギリの様に非道い傷ばかり作り出す
役目の果たせぬこの手で抉り出せるのは 己の肋骨から抉り出す心臓と血だけ


手の平を翳し 捧げることが出来るのは心臓と血だけ
断頭台の血で塗れた刃である 失うことだけを目的に作り出された
本当は誰にも望まれていないこの手で祈りを捧げるのは 鼓動を止めた心臓と
同じく誰にも望まれない役目を終えた 血だけ


心臓は供物として肉となった
血液は被害者として地に垂れた
僕は彫像のよう
でも傷口は心臓よりも熱く脈動して


僕の餞に せめて救えなかった君の
最後に吐き溢れた君の血液をと願う


錆び果てて崩れるまで 君の血液を
君の血液で 僕の罪を罰と交換を
餞に 僕の心臓に君の苦しみと寂しさと 憎悪をと願う


僕に吐き捨てて欲しい 僕の捧げた心臓に 反吐のように吐き捨てた血を 呪詛を