僕が壊れてしまうという事。

僕が壊れてしまったら、君の心に埋めてしまって欲しい。
僕は君の心で分解されて、いずれきっと他のものになってしまうだろうけれど。
僕が壊れてしまったら、君の中だけにずっと置いてやって欲しい。
どんどん他の思い出に圧し潰されて、何時の間にかぺらぺらに変形されてしまうのだろうけれど。

僕の声、僕の顔。 僕の匂い、僕の手触り。 僕の肌の色、僕の唇の形。 僕の傷1つ1つの由来、僕に感じた全ての未来。
僕は君の中で存在している間だけ、僕としての価値が初めて感じられるような気がするんだ。
歪もうと腐ろうと、僕自身が居なくなって君の中に残した全てだけの意味になって、初めて僕は僕として生きていける気がするんだ。

君が壊れてしまいそうになったら、壊れることがどういうことかを思い出して欲しい。 僕が焼けていった様を。
君が好きだった僕の髪の毛の焦げる臭いを、焼かれているのに何の変化もない僕の表情を。 壊れるとはどういうことなのかを。
君が君の中に居る僕を必要としなくなったら、どうか僕を忘れて欲しい。 僕はそれ以上の意味を必要としていないから。
君が僕を忘れてしまったら、晴れ晴れしい空がきっと君を待っている。 僕にとっても君にとっても、きっときっと、待っているから。